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楽しい人生日記

雑感、時々カメラ

旅路より

 映画「オデッセイ」を見た。火星での任務中に不慮の事故でたった一人取り残されてしまった男が、知恵と気力で生き延びる物語だった。

 予告を見る限り、過酷な環境下で孤独に生きることの苦しさや、救出の困難さ、人間ストーリーを描く感動作かと思っていた。しかし実際に見てみると、もちろんそのような表現もされているものの、むしろポジティブに生き抜こうとする様が強調されており、想像以上に明るい映画だった。どんなに絶望的な困難でも、一つ一つ解決して自らを救いに導く様子は、生きるための気力を与えてくれたように感じた。「頑張って生きる」とはどういうことなのか、教えてくれたように感じた。

 

 日本で生きていると、致命的な危機には、一見、対面しづらい。解決できなければ本当に命を落とすような課題は、滅多に遭遇しない。(これは自分が恵まれた環境で運よく生きてこられたからなのかもしれないが。)だから、本気で頑張る、というのがよく分からない。目標もよく分からない。

 極限状態に追い込まれたとき、明確に「生きる」という目標が本能から設定され、その目標を達成するために課題が明らかになっていき、それら課題の解決のために命を懸けて本気で頑張る。こういうストーリーは非常に分かりやすい。日本は物質的に恵まれている。社会保障も、多分世界全体から見たらかなりしっかりしている。それ故に、目標を自分で設定しなければならない。そもそもただ「生きる」ことが目標であったかつての時代と違い、生きていることは前提で、その上で更に何かを目標にしなければならない。目標が無ければ課題もない。課題が無ければ本気で取り組むべき事柄もない。

 

 物質的に恵まれた環境の中で、目標が無い人は、ただゆっくりと、死に向かっていくしかない。